ネジ巻く手間さえ楽しかったアレ

昨日、何ヶ月ぶりかに家の中の掃除をしていて強くハタキを振ったら、居間の棚で何かがコロンと倒れた。それが何かはすぐにわかったが、手にしてみるとこれが永年の埃とヤニとでベトベト。「悪いことしたなあ」と思いつつ台所へ持っていって磨いてやったら、すぐに昔日の色艶を取り戻した。それがこれ。

Canon EOS 6D (24mm, f/8, 1/60 sec, ISO6400)

小さなオレンジ色の箱。商品名とメーカー名が如何にもな感じで印刷されているので、わかる人にはわかるだろう。わからない人にはヒント、右にネジがある。

Canon EOS 6D (24mm, f/8, 1/45 sec, ISO6400)

反対側、テプラが2枚貼付されている。どうやら上は楽器の、下は持ち主の名前のようだ。これは一体何なのか?  では蓋を開けてみよう。

Canon EOS 6D (24mm, f/8, 1/60 sec, ISO6400)
じゃーん!

という訳で、正解はWittnerのメトロノーム!  悲しいかな今や外から拭いたぐらいじゃ駄目そうで、ネジを巻いてもすぐ止まってしまう。だが元気な頃のこいつは、そこらの時計よりも正確に拍を刻んでくれたもんだ。これを購入したのは70年代末、場所は横浜のヤマハ。¥5,000ぐらい払って帰宅、その後これ聴きながら寝た記憶が。

なんでこんな物を持っていたのか?   それは、当時こいつが個人練習の際の指揮者だったから。最初はゆっくり、そして徐々に速く。嗚呼、なんて真摯でひたむきだったのでしょう、あの頃の持ち主!

時は流れ、今やメトロノームもデジタルな時代だ。楽器屋にはこれより安くてコンパクトで、更にはこれより多機能で使い易いのがたくさん並んでいる。が、驚くなかれその隣で今もこれが売られているのをご存知だろうか?  俺も一瞬目を疑ったが正にあのままで、しかも色とかサイズとかのバリエイションが増えている。俺もピンクの可愛いのを目にして、うっかり買いそうになった。これって、未だに需要があるって事か?  と驚いた。

もしかすると、そういうの知らなかったの俺だけかも。これ、修理したらまた正確な4分音符を刻んでくれるんだろか?

遠い昔への旅

ふと郷愁の念にかられ、学生時代を過ごした街を訪ねてみたくなった。記憶の彼方にある風景は果たしてそのままなのか、それとも大きく変貌しているのか。そして何より、俺が5年以上の長きにわたって暮らしたアパートが今どうなっているのかを知りたくなり、それを実行に移すことにした。誘いにのった当時のご近所TとKもこれに加わり、期待と不安が交錯する中、いよいよその当日を迎えた。

電車を降り、背後でドアが閉まる音を耳にすると何故かホッとした気分になった。30余年の月日を超えて自分が今、自宅への帰路の中途にいるという錯覚からだろう。あの頃もこいつらと、こんな距離感を保って幾度もここを歩いたもんだが、やはり改札の向うの風景はすっかり様変わりしていた。駅前には大きなビルが幾つも建っていて、店も増えた。だがそれら利便はみな今ここに暮らす人々のためのものであって、うちら3名には無縁。エスカレータで通りへ降り、今回の目的地たるかつての住まいに向け歩き始めた。

Canon EOS 6D (24mm, f/5.6, 1/60 sec, ISO800)

すると駅から離れるにつれ、徐々に当時の面影が風景の中に浮かんできた。クルマの往来が激しいこの通り沿いは、むろん古びはしたもののほぼあの頃のままの配置でいる様だ。だがそこから更に歩を進め、脇道に入ると状況は一変した。その一帯に当時ぎっしりと軒を連ねていた筈の安普請がそっくり消え失せ、あるのは小奇麗な住宅やマンションばかり。気分は浦島太郎だ。

溜息を漏らしつつ更に進むと、次に目に入ったのは朽ちるがままに放置された廃居。どういう事情でそうなったのかなど知る由もないが、閑静な住宅地にあってその惨めな姿は痛ましいばかり。もしかするとあの頃はここにも家族がいて、俺はその窓からこぼれてくる灯りと味噌汁の香りを感じながらここを歩いていたかもしれない。目を背けるようにして更に進むこと数分、突き当りのT字路には見覚えのあるカーブミラーが。そしてその先には狭い階段があって、2階の手前が俺の部屋だ。思わず小走りになり、そして立ち止まった。

 

そこに階段はなかった。記憶の中にあった光景はざっくりと切り取られ、それに代わって真新しい鉄筋の建物の壁が鈍く光っていた。小さく舌打ち。草臥れたオッサンが三人、道端でハァとかフゥとか言いながら立ち尽くすその有様はさぞかし不審だったろう。

Canon EOS 6D (24mm, f/5.6, 1/180 sec, ISO100)

いつ取り壊されたのか? 下に住んでいた大家さんはどうなったのか? もっと早くに来れば良かったのか等々、様々な思いが頭の中を駆け巡ったが、何ひとつ答えが見つからない。近くの床屋とかガソリンスタンドとかが残っていたのがせめてもの救いだったが、その年月の重み、遠さは予想を大きく超えていた。そして歩き疲れた体と、沈みかけた気分とを癒やすべく最後は居酒屋で〆。思い出話に花が咲く頃にはようやく「来て良かった」という気分になっていた。

Canon EOS 6D (24mm, f/5.6, 1/60 sec, ISO2500)

「懐かしい」という言葉は、懐に抱いた自分だけの思い出というところからきたそうな。目に見えるものはどう変わろうとも、心の中のそれはいつまでも色褪せない。そんな当たり前の事がこれまで以上に嬉しく、そして有難く思えてきた。それこそが今回の小さな旅の、いちばんの収穫だったのかもしれない。

手持ちのレンズをEOS 6Dで検証する (2)

2本目は2001年5月に購入した「SIGMA 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO」 (長い …)。EF28-135mmのワイド端がどうにもハンパと感じた末に「もっと明るくて広角らしいのを!」と願っての選択。これはその後、寄って開いてのポートレートで「オトナな雰囲気」を出すのに大活躍した。

それを今6Dで使ってみると、やはり開放では周辺光量の低下が大きいし、ハイコントラストの際の色滲みが気になる。だがそこから思い切って絞るとF5.6あたりから中央の解像感がグッと増して来て「あれ? これってこんなにいいレンズだっけ!」と驚いたぐらい。

Canon EOS 6D (28mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO3200)

Canon EOS 6D (28mm, f/1.8, 1/250 sec, ISO400)

Canon EOS 6D (28mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO6400)

フルサイズで使って、ようやく28mmが広角らしく撮れるようになったな♪ という感じ。 ただ古いレンズなので、AFが遅くて音にも品がない。単焦点にしては重いしデカいし、ここまで明るくなくてもいいからもうちょい使いこなしの楽なのが欲しくなってきた。

追記:  結局その後24mmでF2.8でUSMでISなご本家のそれを中古で買ってしまったが、これ、見事にハマったかも。SIGMAで悩んだ、ハイコントラスト時の滲みがないんだよね。

初のスピードライトに感動

6Dはストロボを内蔵していない。だが俺の場合、それはむしろ善き事だと思っている。

ファインダーの上にパカっと開くアレは楽だし、かつて流行ったリトラクタブルヘッドライトみたいで格好いいと言う奴もいる。だが、コンデジならまだしも一眼でアレはいかん。あのオモチャ臭さもそうだが、そもそも直射しかできないという点が×である。なのでD30の頃も、これを使ったのは逆光での強制発光の時だけだった。

室内であればディフューザーを使えばいいとも聞いたが、そんな面倒な事をするぐらいならやはり間接で使えるスピードライトを用いるべきと思っていた。だがその後それを必要とする機会に巡りあう事もなく、結局そのままになってしまっていた。

そこで今回は予めこれを使いこなしておき、来るべき機会に備える事にした。とはいえ結婚式場に乗り込む予定は当分なさそうだし、デカくて重いのはご勘弁ということでおなじみご本家の270EX(≠EXⅡ)の中古をGET。早速試してみた結果をご覧頂きましょー。

Canon EOS 6D (90mm, f/2.8, 1/180 sec, ISO400)

Canon EOS 6D (90mm, f/2.8, 1/180 sec, ISO400)

上が直射で、下が45°バウンスしたもの。前者が「非常時に慌てて撮った証拠」風なのに対し、後者は「ふと作業の手を休めたひと時」といった印象で、雰囲気は殆ど正反対。レフ板を使っても同様の効果は得られるだろうが、どっちが楽かは言うまでもない。

ハイスピードシンクロとか、課題はまだまだ多いが手応えは掴んだ。次は実戦で勝負だーっ!

地元の店が頼りになったあの頃を思う

先日、6Dを三脚に固定して使っていたら3way雲台の螺子が「ボロッ」と折れた。以後三脚、使い物にならず。「あ~あ」と落涙したが、これまた15年も前のモノだし無理もないかと諦めた。そこでこれだけを買い直そうと思ったが、やはりこういうのは現物見ながらでなきゃダメと思い、以前よく行った地元の写真屋(=この三脚を買った店)へ出向いた。ところがその店内に足を踏み入れるや絶句!

雲台はおろか、三脚そのものがない。それどころかカメラもレンズもケースもバッグも数がなくて、陳列棚に欲しいものなど皆無。フィルターも保護用だけ。スピードライトとかレフ板とか、こういう店ならではのアイテムが全滅ではないか。こりゃダメだと思いつつ改めて店内を見渡せば、かつてこういうのが並んでいた場所にあるのはプリンタのトナーとか用紙とかとかばっか。「いったいここは何屋なのだーっ!」と叫びたい気分で店を出た。

Canon EOS 6D (90mm, f/5.6, 1/30 sec, ISO6400)

その後本件は後日、○○○カメラで事なきを得た。思ったより高かったが、当分これで困ることはないだろう。だがその一方で、なんとも殺伐とした、さみしー気持ちになった。こういうのって、昔だったら「部品が取り寄せできるか、メーカーに聞いてみましょうか?」からだったんじゃないだろか。そして店から「届きました」のTELで出向く、その時間も手間も前時代的だが「これだから安心」と、みな高い買い物に踏み切ったんじゃないだろか。それは保証とかポイントとか、そういうのと本質的に違う、店への「信頼」ってものがそこにあったからだ。店も客も、モノを大切にしたあの頃。

いまそれをネットの向うの、顔の見えない誰かが受け止めてくれるのか?  そして思いはいつもの無限回廊へ …

追記:  実はその後、諸般の事情でアルカスイス互換の雲台に変更。このクィックシューに関する規格、いまだによくわからない。

手持ちのレンズをEOS 6Dで検証する (1)

6D購入の動機のひとつでもある、ワタクシ手持ちのレンズ群(と言えるほど持ってないが)。どれもD30の頃のそれとあってヒジョーに古いが、果たして6Dで使った時どうなのか、それぞれ順番に検証してみる。

まず1本目は「EF28-135mm F3.5-5.6 IS USM」。2000年10月、D30と一緒に買った記念すべき最初の1本。発売はそれより前だというから、実に20年近くも前のそれである。暫くの間これだけで修練を積んだが、その後より明るくてよりシャープなのが加わるにつれ出番が減り、半年かそこらで哀れスタメン落ち。こうして事実上の戦力外通告となった筈なのに、それが未だ手元にあるのは、その時買取屋から破格の安値を提示されたから(ナナマンモシタノニー!)。

現在「記念品」として残ってはいるものの、今後も持ち歩くことはまずないと思う。が、これをフルサイズ機で使ったらどうなのかだけは確かめておく事にした。

Canon EOS 6D (28mm, f/5.6, 1/350 sec, ISO100)
C-PLで空にムラ出てるし

Canon EOS 6D (135mm, f/5.6, 1/125 sec, ISO100)

Canon EOS 6D (28mm, f/3.5, 1/250 sec, ISO100)

まず「おわっ!」と来たのは1枚めの周辺光量落ち。フードはつけていないし、フィルターを外しても変わらないのでケラレではない。これがフルサイズか! と、妙なところで感心。6D側で周辺光量補正を「あり」にしてもこれなのもよくわからない。いずれにせよ、少し絞ってやれば気にならなくなるので大きな問題ではないかと。

使っていてファインダーにカクカクISの、あの変な感触が蘇った。色もキレも全般的に悪くないし、老兵は死なずという感じ。

なお今回気づいたのは、最近のレンズを使った時と比較してバッテリーの減りが早かった事。満充電のそれが、1時間かそこらで半分以下になってしまった。もしかすると設計が古い分、大飯食らいなのかもしれない。

6D初の遠征

晴れたので、EOS6Dの練習にとズーラシアへ。約6時間の滞在で200枚近く撮ってきた。

楽しい一日だったが帰宅後、それ(RAWのみ)をWi-FiでPCへ持ってくるのに、ある程度覚悟はしていたが実に1時間超(!)。編集もこのPCでは明らかにパワー不足で、重いったらない。今後に向け、インフラ整備を真剣に考えなければ。

Canon EOS 6D (90mm, f/2.8, 1/350 sec, ISO100)

Canon EOS 6D (90mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO100)

2枚ともTAMRONのSP AF90mm F2.8 Di MACRO(初代)+C-PL。色ノリといいボケ味といい、ほぼ狙い通り。最新のそれには手ブレ補正がついたそうだが、今のところ俺的にはこれで充分+。

Canon EOS 6D (300mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO1250)

Canon EOS 6D (70mm, f/8, 1/250 sec, ISO500)

Canon EOS 6D (300mm, f/5.6, 1/250 sec, ISO160)

TAMRONのSP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD+C-PL。三脚を持参したが、これらは3枚とも手持ち。調子に乗って以降ずっとこれで通してしまったが、テレ端で檻の中を狙ったのはキレも色も×ばかり。ちと過信したなと反省。

Canon EOS 6D (28mm, f/1.8, 1/1500 sec, ISO100)

SIGMA 28mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO+C-PL。開放。色もキレもいいが、周辺光量低下が顕著。2段絞ったら気にならなくなったが、敢えて失敗例としてのこっちを残しておく。

こういうの久々にやって、痛感したのは自身の劣化。レンズ3本と三脚その他を担いで長時間歩いた結果、最後の方は腕が上がらなくなるわピントの山が掴めないわで、カメラだ写真だ以前の有様。まーいい勉強になった。以上!

6D来たる

この時点で非常に危険な精神状態を自覚した俺は、その後ドトールで熟考小一時間、そして落ち着いたところでお店にUターン(笑)。買ってしまった。6Dを。

D30から17年、遂に2台目のデジタル一眼である。逸る気持ちを抑えバッテリーを充電器にセットし、マニュアルをナナメ読み。そして充電完了と共にSDを入れ電源を入れ、そしていよいよファインダーを覗きシャッターを半押し!  全押し!! う~ん、こりゃいい!!!

Apple iPad Air 2 (3.3mm, f/2.4, 1/30 sec, ISO80)

以後、マニュアルと首っ引きで6D初日は暮れた。まだまだ使いこなすレベルには達していないが、実感するのはやはりISOオートの有難味。ひとまず上限を6400に設定したが、ここまでハネ上がってもよほど拡大でもしない限りヨゴレ感がないのが凄い。今後更にあれこれ試してみるが、出てからだいぶ経つ機種だし、評価はほぼ先人たちのそれに準ずるでしょう。

なおD30には以後TAMRONの70-300をつけっぱなしにしておき、明るい屋外でイザという時に備える事にした。

iPad Air 2 (3.3mm, f/2.4, 1/30 sec, ISO80)
とても重いが

この新旧EOS兄弟のこれからの活躍に乞うご期待!

追記:  比較のためにとEF50mm F1.8 IIを引っ張り出してみたら、AFが動作せず(涙)。自然死か。享年17。

Tirez sur le pianiste de faux!