天国への階段

2足歩行の際の体内リズムは、通常2拍子である。ところが最近、長くて急な階段を昇っている時これが3拍子になっているのに気づいた。それも1拍目を強調した舞踊スタイルで、言葉にすれば「えっこらせ、ほいせっせ」の繰り返しである。つい先日も地下鉄の駅でビル5階相当の高低差をこの調子で歩いたが、途中で子連れやら高齢者やらに次々抜かれる始末。情けないを通り越して、これはヤバいと感じているこの頃である。

だがこんな時、そのリズムにのって好きなワルツの断片が頭に浮かぶというのもまた楽しいものだったりする。あの時、駅の階段で俺だけに聞こえていたメロディ、それはヨハン・シュトラウスでも天然の美でも、はたまた千昌夫でもなかった。自分でも驚いたが、なんとそれはラヴェルの「ラ・ヴァルス」。特に好きな曲でもないのになんで? と不思議な気分になった。そしてまたもやこれがキッカケで、この曲のスコアを買って帰宅する羽目に。以前は高嶺の花だったラヴェルも、著作権保護期間満了と共にお求めやすくなってくれていて助かる。よって今回もニチフ。

La valse最初は「あのラヴェルのことだからさぞかし凝ったことを」 と思ったがそれは案外シンプルで、読み易い譜面だった。面白いなと思ったのは、あのいちばん最後の「タタタタドン」。てっきりここで2拍子に変わって終わるもんだと思っていたら、この2小節ともそれまでと同じく3/4のまま。その「タタタタ」が4分音符×4で、上には「Sans ralentir(遅くするな)」との注意が。恐らく何らかの意図があってのラヴェルの拘りなんだろうが、ここで遅くなる演奏、これまで結構聞いたような(実は俺もその方が好き)。

まあこの辺はまたじっくり調べることにしましょう ・・・ と、その前に体力の心配が先か(笑)。

PHPとQuickSort

Cでソート(並べ替え)とくれば、通常qsortである。しかし如何にquickとはいえ、引数に大きな構造体配列を渡したりするとそれなりに時間がかかるし、メモリも食う。こんな時は配列要素個々に対するポインタを配列としてこれをqsortに渡し、そこから2次的に評価すると良い。

とまあ昔取った杵柄で偉そうに書いたが、こんなTipsを思い出したのはつい最近PHPで同様の局面を迎えたからである。PHPにもCのqsortにあたる関数は用意されているが、Cと違ってPHPにはポインタがない。てかそもそもPHPの配列は「順番付けられたマップ」で、Cのそれとは別物である。なのでこの技は使えない。

尤も現状それが「遅い」とか「飛んだ」とかで困っている訳ではないので、喫緊の課題ではない。が、今後さらにこの配列が肥大を続けると、いずれどこかで破綻をきたす筈である。「何らかの対策を考えておかないとマズいよな」と思った直後、ふと「自前でPHPにqsortをライブラリとして実装するとしたらどんなコードになるか?」を考えてみた。むろんCで、である。

引数は対象となる配列と、比較関数へのアドレス。そこでまず上記手法を用いてポインタ配列を生成し、あとはいわゆるクイックソートで、とすれば○だろうと考えた。でもこれが常に有用とは限らないし、そもそもそれに要するメモリやら処理時間やらがまるで読めない。むむむ。

やはりこれは、現状どうなっているのかを調べるしかなさそう。時間作ってPHPのソースを追っかけてみましょうかね。

プルチネルラの謎

先に触れたクラフトのストラヴィンスキーはなかなか良かったが、実は「プルチネルラ」で、ちと気になるところがあった。それは一箇所、長年の愛聴盤たるピエール・ブレーズのそれよりバリトンが1オクターブ上で歌っているのに気づいたのだ。気のせいかと思って両者聴き比べしてみたが、やはり間違いない。いったいどっちが正しいの? と思い悩み、あちこち調べてみたがさっぱりわからない。そして結局、大枚叩いて全曲版のスコアを購入してしまった。該当箇所は練習番号100から101まで。

REVISED EDITION 1965結論からいうと、譜面どおりなのはクラフトの方だった(!)。しかしそれはバリトンの音域としてはかなり高いので歌い手も苦しそうだし、ブレーズのようにオクターブ下で歌った方が101への繋がりも自然な気がする。もしかしてブレーズもそう考えて?  でもこの人は「 楽譜に忠実」というイメージが強いし、う~ん ???

という訳で、謎は更に深まってしまった。誰かこの辺の事情についてご存知の方がいらしたら、こっそり教えて頂きたく候。

いっぽう、こうしてスコアを眺めていて、いつだったか在京プロの演奏でこの組曲版を聴いた時の事を思い出した。それはミスだらけで興醒めだったんだが、いまや「なるほどこれは簡単ではないな」と納得してしまった。あちこちに仕込まれたブービートラップに「注意注意」とわかっていながら、気を抜くと指揮者もろともドカーン、みたいな感じか。聴く方にしてみればストラヴィンスキーの茶目っ気が垣間見えて、実に楽しい。けど演る方は大変ですな。オホホ。

追記:その後 クラフト自身によるライナーノーツを読んでみたら、最後の方に「The bass vocal part also requires an exceptional high-register, which the vocal score wrongly transposes an octave lower.」とあった。たぶんコレだ! しかし意味わかんね(笑)。

ひさびさのストラヴィンスキー

NHK-BSで耳にしたVnとPfの「ディベルティメント」が気に入った。そこでその原曲の原曲たる「妖精のくちづけ」を探したところ、行き着いた先はやっぱりNAXOSだった。ただその演奏は同社得意のマイナー団体ではなく、ロバート・クラフトにロンドン響という一流どころ。どうやら以前他のレーベルから出ていたものの再発らしいが、こういう貴重な録音の掘り起こしにも積極的なNAXOSの姿勢には敬意を表したい。

とまあそれはいいんだが、ここの盤の日本むけパッケージの文言はいつもブッ飛んでいる。誰が書いているんだか知らないが、今回のそれも

「当盤でお届けするストラヴィンスキー作曲の2つのバレエ音楽は他人の作品をネタに使用するという点では共通していますが、性格はかなり異なります」

だそうで。そこは「~より旋律を引用」とかでしょ普通。「ネタ」ってあんた(笑)。「当盤でお届け」というのもアレだし。好きだけど。

おっと、肝心の中身はと言えば併録の「プルチネルラ」ともども大変よろしいっ! シリーズらしいので、他のも聴いてみようかと思っているところである。

クリスマスの楽しみ

毎年、この時分になると無性に聴きたくなる曲がある。第九? ノー(てかあれはもともと好かん)。クリスマス・オラトリオ? 名前は似ているがそれでもない。それはアルテュール・オネゲルの「クリスマス・カンタータ」。極マイナーな曲なので知らない人が大半だろうと思うが、誰でもいちど聴いたら好きになること請け合いである。かくいうこの俺も期待感ゼロで買ってきたこれをBGMに麻雀していて、たちまちハマったところからだった。その日は大負けしたが(笑)。

その後CDではずっとジャン・マルティノンのを愛聴してきていたが、今となってはさすがに古い。もうちょっと新しめで録音のいいやつはないかな、とAmazonで探していて見つけたのがこれ(注1)。そのデキは◎である。オネゲルらしく陰惨な雰囲気のアタマ1/3をハイテンポで片付け、残りをゆったりと聴かせるところなどビギナー向けだし。ジャケットのデザインも粋で癒されるしで、おススメ♪。

これほど素敵な作品がメジャーになれないのは、恐らく独唱に合唱にオルガンまで必要としながら20分少々という演奏時間ゆえ、演目に載せ辛いからだろう。もったいないなー。

注1: 今ではAmazonのカタログから落ちている模様。

Tirez sur le pianiste de faux!