かつて演劇部長を務めたことのあるわたしと「いだてん」

カイロでのIOC総会で東京五輪の開催を勝ち得た嘉納治五郎は日本への帰路、船中で没する。それが叶わなかったことを知っているだけに、これはアカラサマなまでに「泣かせ」な展開だが今回ばかりは完全に釣られた。視聴率で苦戦を強いられっぱなしなNHK大河「いだてん」と、当時のこの国の四面楚歌な立ち位置がカブってしまって、それはなおさらだった。

その嘉納治五郎は船内のロビーで「あなた方のこれまでで一番楽しかったことは何ですか?」と、周囲の者に尋ねる。俺はそこで「ハイ!」と挙手。びっくりしたように振り向く役所広司。

「EXPO70です!」
「は、エクス … ? 何かねそれは?」
「大阪で開催された日本万国博覧会、昭和45年、わたしが11歳の頃のことです!」

あれほどまでに指折り数えて待ち、そして期待を遥かに超えた感動を与えてくれた催しは後にも先にもあれだけ。更にはあの時以来流行語となった「コンピュータ」というカタカナ言葉が脳裏に焼き付き、それは結果的に俺の生き方を決定づけてしまった。

尤もそれはまだ当時の俺が幼気な「子供」だったというところもあるんだろうが、あの時周囲を歩いていた大人らも、みなそんな目をしていた。つまりあの頃のこの国は、今よりずっと若くて元気だったのでしょう。

「1970年? わしが110歳か、楽しみだねそれはハハハ!」
「いまや既にそれから49年経ってますよハハハ!」


少子高齢化でお先マックラですけど …

NHK大河で真に「歴史に学ぶ」を実感したのは本作が初。総合で日曜20:00でなくて一向に構わんので、この路線を継続してほしい。